立派な部屋で一年 |
穏やかな表情で |
部屋に設えられた台に横たわるクロベエ。穏やかな顔だ。体は硬直し始めている。毎月の検診では病気にはなっていなかったので、老衰だろう。シェパードと柴のミックスなので、小さな大型犬か大きな中型犬というサイズ。享年15歳。大往生だ。食事に散歩、シャンプーに診察。家では到底成しえなかった至れり尽くせりの1年になった。安らかな顔が物語っている。苦しむ期間が短くてよかった。それにしてもなんというタイミングだ。安くはないホーム。クロベエはもう延長するまでもないよと気遣ってくれたのかもしれない。それともそう思った上さんが連れていったか…
早出のスタッフが息絶えているのを発見してすぐに電話をくれたのだった。9時に行くとすでに焼香も数本立っていた。10時開店だが、すでに店長もスタッフも5名ほど集まってきている。皆、泣きながら、焼香したり、生花を手向けたり、さすったりしている。泣き崩れたまま動けない人もいる。ここに預けて良かった。クロベエはこの一年店の人々皆に愛され、近隣の人々にも可愛がられていた。月々報告される写真と食事・散歩・排泄記録と様子を記した手紙からも、幸せな一年だったことは読み取れていた。引き取るための大ダンボールや氷まくら類も車に準備していたのだが、そんな店の人々の様子をみて、火葬も店に任せることにした。子供たちからは何の連絡もないので、俺一人よりも、この店の人たちに見送られるほうがクロベエも本望だろう。店長とは遺骨を6日に引き取る旨決めて、さすって焼香して最期の別れをして、各スタッフに礼を述べ、店を後にした。4日(木)には荼毘した寺からその旨のはがきが届いた。
夕焼けのベイブリッジで花火待ち |
2日(火)は、みなとみらいへ神奈川新聞花火大会に出かけた。この大会は約20万人で賑うだけに派手だ。前半は情緒豊かに、後半はサザンや矢沢など国内外のPOPに合わせて、これでもかと言わんばかりに連発する。開いて消えるまでにクルクル色が変わる、まるで巨大なミラーボールのような花火には驚いた。この豪華さなら、上さんは大はしゃぎしただろう。その横で連れ出されたクロベエはガタガタ震えていたはずだ。でかい図体とは裏腹に気が小さく、雷と花火の音が大の苦手だった。期せずしてクロベエの追悼花火に。ゆずの栄光の架け橋に合わせた花火を見上げながら、そんなこんなを思い出していると涙が出そうに。涙腺がゆるくなったのは、悲しみが増えたからか、年のせいなのか… 大会のファイナルは音楽も聞き取れないほど、これぞ日本の花火という圧巻さ。飲みながら大はしゃぎする上さんの隣で、クロベエは震えながら見下ろしていたに違いない。よい追悼になった。
永遠なれ |
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